世界花火 日本花火文化編

日本花火文化特殊論

「世界花火」で世界中の花火を調べてみて、1つの結論に行き着く。日本の花火文化は世界に例を見ない特殊なものであると。

「日本の花火は世界一」と言われることがあるが、これは主に技術面を述べたものである。最近は花火の世界でも国際交流が盛んで、どの国でも奇麗な花火が見られるようになった。これもほとんど日本の花火製造、花火打上げの技術が輸出された結果だと思うのだ。

では、なぜ日本の花火技術がこれだけ進んだのかというと、見る側すなあち観客の花火に対する関心が高いことだと思われる。そして「玉屋、鍵屋」の時代から、花火師が競争する環境ができていたのだ。

こうなった最大の理由は、社会のイベントの中で「花火」の地位が高いことがある。

例えば、多くの国では「花火を上げる日」というのが国によって決まっている。それは国によって独立記念日だったり、革命記念日だったり、あるいは新年の年明けだったりするのだが、まず何かしら国民が集まってお祝いするイベントがある。そこで花火を上げて祝賀ムードを盛り上げようと言う趣旨だ。つまりここでは花火は脇役、あるいは何かを引き立てるための道具という位置づけになる。

日本の場合には、花火大会の起源とされている隅田川の花火は「川開き」のためだったと伝えられているが、現在行われているほとんどのイベントでは「○○の花火大会」という名前が付くように、花火そのものがメインになっている。このため、日本の花火はたいてい時間が長く、玉の量も多い。1時間から長いもので2時間くらいは上がる。これは実は世界的に見ると長いのである。中国では1時間くらいのものもあるが、アメリカやヨーロッパでは30分以内のことが多い。

特定の祝日に関連していないということは、花火を上げる日は市町村によってまちまちである。このため、花火好きな人は1年にそれこそ日本中をハシゴして、花火大会をいくつも見ることができる。日本にいると気付かないことだが、これは偉大なことなのである。例えばアメリカでは独立記念日(7月4日)と大晦日(12月31日)というように、「花火を見る日」というのが決まっているので、どこか1カ所で見ると他の場所で見る事ができないのである。

もう1つの日本の花火文化の特徴は、花火師たちが知られているということである。花火を見る時に「玉屋」「鍵屋」というかけ声があるが、あれは花火屋の名前である。現在でも、花火マニアの人は、細谷エンタープライズとか丸玉屋といった、花火屋の名前を知っている。このように客が花火師の「仕事」を賞賛するというのは、日本独特の文化なのではないかと思う(確認したわけではないけど)。

これは上げる日が決まっていないということにも関係しているのではないか。日本のように地方によって上げる日が違っていると、花火業者は巡業するようにあちこちの花火を上げる。見る方もそれに付いて行くということができる。「年に1日」しか花火の日がない国では、その分だけ花火を上げる業者の数は多くなるのだが、客は自分の町で上げている業者の花火しか見ることができない。これでは競争も起きないのではないか。

まとめると、日本の花火は

  • 上げる日が決まっていない
  • ハシゴすれば年に何回も見ることができる
  • 業者が競争するので技術レベルが高い
  • その業者の名前を客が知っている

という特徴があると言える。

これこそ日本の花火文化が世界に類をみない特殊なもので、これは日本人(観客)にとっては非常に有難いことなのである。