世界花火 文化海外編

花火を上げる理由

「日本の花火文化」のところで、「日本は花火そのものがイベントのメイン」ということを書いたが、それは世界的に見れば非常にユニークである(日本の花火ファンは恵まれている)。外国では「何かのイベントを盛り上げる演出アイテムとして花火が使われる」ということがほとんどである。

花火を上げる理由にはいくつかのパターンがある。

年明け花火パターン

12月31日から1月1日に日付が変わる時は、年が変わる時でもある。これは世界共通の記念日で、「とにかくめでたい」のである。

いろいろ調査した結果、この年明けの瞬間に花火を上げる国が多い。というよりも調査した半分以上の国で、「年明け花火」をやっているのだ。

アメリカでもやっているが、ノルウェーやフィンランドといった北欧の国々、ドイツなど。またマレーシアも年明けに上げるようだ。「年が明けたので、とにかくめでたい」というムードを演出するには花火はもってこいだ。大晦日から元旦になる日は、地球上でもっとも花火が打上げられているはずだ。

中国の春節の花火は2月に打ち上がるが、太陰暦での正月を祝うものなので、これもある意味年明け花火と言えるだろう。

日本でも2000年頃に年明けの花火が行われた時期があったが、廃れてしまった。「年明けはおごそかに迎えるもの」という日本の文化に合わなかったのだろうか?年明けだと夜中の12時に上げることになるので、騒音という問題もあったのかも知れない。

記念日祝賀パターン

これは歴史に関する記念日を花火で祝福するもの。アメリカの独立記念日、フランスの革命記念日などがこれに当たる。他にも、マレーシアロシアでは戦勝記念日に花火があがるそうだ。中国では春節の他に、国慶節(建国記念日)にも花火があがる。

アメリカの独立記念日の花火を何度か見たが、だいたい式典やらコンサートがあって最後に花火が上がる。祝賀ムードを盛り上げると同時に、「国威発揚」の意味があるのかも知れない。

宗教関係の記念日

インドのディワリ(Diwali)がこれにあたる。ヒンズー教の女神のラクシュミーを祝うもので、10月の終わりにある。ラクシュミーは光の神ということもあって、光=花火という連想で花火が使われるようだ。この日は普段は禁じられている花火の販売があって、国中で花火を上げて楽しむようだ。

またラオスでは仏教寺院の前で花火が使われる。これはタートルアン祭という年に一度のお祭りのフィナーレが花火になっている。

キリスト教では、ブラジルの「クリスマスツリーの池」がすごい花火だ。ただこれはクリスマスと正月を含めたホリデーシーズンの幕開けを祝うもので、クリスマス当日は花火はない。ギリシャのヒオス島の花火(ロケット花火の打ち合い)は、イースターの日に行われるが、この島の歴史に由来するもので、宗教的なものではない。どちらかというと、上の記念日のパターンに近い。 イタリアのフィレンツェの花火が教会にまつわるものだが、それ以外のキリスト教圏では年明けに花火を上げる傾向がある。

イスラム教にはラマダン(断食月)がある。昼の間は断食をするというもので、29日から30日続くものだが、この27日目に花火を上げるという習慣がある。これはモハメットが神の啓示を受けた日に由来している。

祝賀じゃないけど記念日

イギリスの「ガイ・フォークス・デイ(Guy Fawkes Day)」は花火を上げる日としてはかなり特殊である。Guy Fawkesは歴史上の有名人だが、いい人ではない。17世紀に英国の国王と国会を爆破しようとした、今で言えばテロリストであった。彼とその一派が死刑になったのが11月5日で、これを記念してイギリスでは11月の第1土曜日がGuy Fawkes Dayと呼ばれている。どういうわけか、このテロリストの名前が「花火の日」として残っているのである。

しかし独立記念日とは違って、イギリス人はGuy Fawkesは悪役であって、讃えたり賞賛したりする対象ではない。ただ単に、「花火をする日」にFawkesの名前を使っているだけなのだ。おそらく爆弾事件と花火が「火薬つながり」だからであろう。花火そのものを楽しもうという意味では、記念日というようより日本のように花火そのものがメインのイベントと言えるのかも知れない。

もう1つこれに分類できるのが、ギリシャのヒオス島のロケット花火。これは「この島がオスマントルコに占領された時に、地元住民が手作りのロケット花火で抵抗した」という史実に基づいて行われている。

その他

テーマパークとか、スポーツイベントとか、誰かの結婚式とか、他にも花火をあげる理由はいくつもありそうだ。